プリズム(ネタバレ含む)
▼あらすじ(ネタバレなし)
小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。
担任の先生の死を知った小宮山少年のクラスはざわついていた。
先生は殺されたのではないかという噂が広まり、関係者たちは各々推理を巡らし事件の真相へと辿り着こうとしていたが……。
▼感想(ネタバレなし)
慟哭と同じ作者さんということで期待して読みました。
初見ではオチを受け入れられなくて本を投げつけたくなりました。もっとスッキリしたかった。
しかし読み返したらなんともいえない癖のある味にやられてしまったので、記録を書くに至りました。
※以下、未読の方にとっては作品の観賞を台無しにしかねないネタバレを書いています。
ネタバレ閲覧は自己責任でお願いいたします。
そして出来れば、未読の方はここで引き返して、
先に本編を読むことをおすすめしたいです。
- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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ーー以下ネタバレーー
結論から言って、犯人は明示されません。
▼構成ネタバレ
語り手が章ごとに変わっていくリレー形式。
流れとしては、語り手が自らの推理で犯人を決めつけ自己解決→犯人とみなされた人物が次の章の語り手となる、の繰り返し。
ラストでまた最初の語り手である小宮山少年にバトンが戻る。円環リレー。
▼先生の印象について
語り手ごとに被害者の女性教師の印象が全く違ったものになるのが、この作品の肝だと思います。タイトルにもなっているし。
小宮山少年(教え子)→優しくて子供の目線をわかっていて生徒に大人気の先生
桜井先生(同僚)→素晴らしい女性だと認める一方、引け目と劣等感をおぼえる存在
井筒(元恋人)→我が儘で奔放な魔性の女性、自分は奴隷で彼女は女王様
小宮山(不倫相手)→謎めいたプリズムのような女性、離れがたい魅力を持つ女性
最後の語り手となる小宮山は、小宮山少年の父です。
小宮山が追及と推理の果てに息子を疑い、バトンが繋がったところで本書は終了。
▼ネタバレ感想
犯人は誰か、ということだけに注目して読んでいたら、
結局犯人わからんのかい!
ということで初見での印象は物凄く悪かったのでした。
息子視点で見た父が後々不倫をしていることがわかったり、先生の印象が最初と最後でだいぶ変わったりと、細かい驚きはありましたが。
▼個人的な推理
せっかくなので自分もこの登場人物たちに倣って、真相を決めつけて自己解決して終わりたいと思います。
先生は事故死。
事故現場をたまたま訪れた人物たちが、各自都合のいいように現場を荒らしたことで複雑な殺人現場のようになってしまった。
南条のやっていた犯罪が明るみに出るのかどうかも作中はっきりしていませんが、
小宮山に粘着され、警察に疑われている以上どこかでボロを出す未来が待っているのでは、と思います。