タルト・タタンの夢、ヴァン・ショーをあなたに(ネタバレ無し)
タルト・タタンの夢
ヴァン・ショーをあなたに
(近藤史恵/創元推理文庫)
ビストロ・パ・マルという下町のフレンチレストランを舞台にした、シリーズ物の短編集です。
ほんわかした絵本のような表紙から受けた印象通り、謎はサクっと軽め。
日常のちょっとした人間関係のこじれが生むあるあると、耳慣れないフランス料理の解説が楽しかったです。
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2014/04/28
- メディア: 文庫
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- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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▼各話ごとの感想など。
メインとなる料理についても貼っておきます。
画像が多いので畳みました。以下からどうぞ。
■タルト・タタンの夢
登場するのはリンゴタルトのようなお菓子。
バターと砂糖で炒めたリンゴの上から、タルト生地を被せて焼く。
最初のお話なのでストーリーは単純明快。
シェフ、いいキャラクターだなぁ。
■ロニョン・ド・ヴォーの決意
今回のメイン料理は子牛の腎臓。作中の言葉を借りれば砂肝みたいな食感とのこと。
自分も○○は応援できません。
なのでシェフがすぱっと言ってくれて良い気持ち。
■ガレット・デ・ロワの秘密
お祝いで食べるパイ菓子。中に陶器のおもちゃが入っている。
甘酸っぱいなー。少女漫画だなー。
■オッソ・イラティをめぐる不和
チーズの一種で、羊乳から作られているとか。
これは耳が痛い話だった……。
自分には些細なことでも、相手にとっては重大なこと。
■理不尽な酔っぱらい
今回はタイトルにテーマ料理名なし。
そもそも、料理そのものがオチになっているんですよね。
この仕掛けはちょっと面白いと思ってしまった。
■ぬけがらのカスレ
豆と鶏肉などでつくる煮込み料理。家庭的な料理らしいです。
一番共感できなかった話。まぁ、こんな恋愛話があってもいい……のか?
シェフの探偵スキルは相変わらず冴えてる。
これは切ない話でした。
家族愛には弱いです。
ここから次巻「ヴァン・ショーをあなたに」。
■錆びないスキレット
これは料理名ではなく器具。鉄製のフライパン鍋。
何度手入れしても錆びる鍋。
個人的に一番ミステリーっぽさを感じました。
経営者の闇ですね。
といってもパ・マルシリーズなのでそんなに重たくはない印象。
■ブーランジュリーのメロンパン
フレンチから町のパン屋さんまで、色々なパンが登場。
これも親子愛モノ。
パンが大好きなのでこの話はどうしても贔屓目に見てしまいます。美味しそう。
■マドモワゼル・ブイヤベースにご用心
魚介類をたっぷり使った寄せ鍋料理。
美女と謎ってとても絵になりますね。
ストーリー的にはシェフの恋愛観がわかる珍しい話。
■氷姫
テーマは氷ですが、パ・マルがほとんど登場しないので料理ネタは少なめ。
この話から主人公がギャルソンの高築ではなくなっています。
恋愛メインの話は共感できないと置いてきぼりになるので今回はあまり。
■天空の泉
これも料理ネタほぼ無し。
料理ネタが少なくなってきてちょっと残念に思ったり。
■ヴァン・ショーをあなたに
スパイスを加えて温めたホットワイン。
最後の最後は美味しそうなワインで締めてくれてほっとしました。
この後の外出で思わずワインを買ってしまったくらい。
料理ネタが魅力的なシリーズだったので、料理の写真をメモ代わりに挟みました。
ストーリーは、総じて、えっそんなオチ?と思う話が多かったです。
が、その呆気なさがリアルというか、ふだん暮らしてて日常の中で起こるいざこざってこれくらいの軽いズレから始まるような気がします。
あと、登場人物の紹介や描写が漫画的だな、と思っていたら、どうやらコミックス版もあるらしくて納得。