倒錯の死角~201号室の女(ネタバレ含む)
▼あらすじ(ネタバレなし)
冴えない翻訳家の大沢には、実家の屋根裏からこっそり向かいのアパートを覗く悪癖があった。
ある日、のぞきをしていた大沢はベッドの上で死んでいる女性に気づいてしまう。
これをきっかけにアルコール依存症に苛まれた大沢。
三ヶ月間の入院治療を経て、部屋に帰ってきた大沢が目にしたのは、にっこりと微笑む新たな女性の入居者だった。
▼感想(ネタバレなし)
秘密の屋根裏・覗き見ということで、最初は乱歩先生を思い出しました。
思ったよりサイコホラーというか、精神的にゾッとするシーンが多くてあまり読み返したくはないです。
仕掛けがわかるまでの緊張感は半端なかったですが。
シリーズもののうちの一冊らしいですね。ここからどう世界観繋げるんだろう。機会があれば読破したいです。
※以下、未読の方にとっては作品の観賞を台無しにしかねないネタバレを書いています。
ネタバレ閲覧は自己責任でお願いいたします。
そして出来れば、未読の方はここで引き返して、
先に本編を読むことをおすすめしたいです。
- 作者: 折原一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/11/29
- メディア: Kindle版
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ーー以下ネタバレーー
▼ストーリーネタバレ
201号室の女こと真弓の死によって、さまざまな人物の人生が狂わされた。
女の行動に惑わされた大沢は、妄想をこじらせ最終的に発狂。治療と発病を繰り返すことに。
真弓の母は、娘の死により精神を病み、一年前の娘の生活をそっくりそのままなぞり演じ続けていた。真弓の日記を参考に、今年も、そして来年も……。
▼トリックネタバレ
時系列誤認トリック。大沢視点の話と真弓視点の話の間には一年のズレがある。
人物誤認トリック。真弓の母が真弓のふりをしているのを、真弓本人だと思わせるような書き方をしている。
信用できない語り手。第一部から第二部に切り替わる間に大沢は精神に異常をきたしているため、後半の大沢の語りには妄想が混ざっていた。
▼時系列について
読んでいて少し混乱してきたのでずらっと書き出し。
(3月~)真弓が上京→真弓が不倫相手に殺される→大沢が真弓の死体を目撃→大沢入院
(翌年3月~)→真弓の母ミサ子上京→大沢退院→ミサ子暴走(大沢を誘惑、通り魔、不倫相手への復讐など)→大沢発狂
(翌々年3月~)→大沢帰宅→ミサ子再び上京
▼ネタバレ感想
狂ってしまった二人が再び最初のように巡り合って終了、という解釈で良いんですかね。無限ループって怖い。
上では書ききれなかったのですが、空き巣の曽根や真弓の不倫相手、大沢の伯母など他の登場人物たちも不気味で、
とことん倒錯的なサスペンスの世界に浸れました。