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3行読書録

だいたい3行くらいで読んだ本の記録をつけていきたいブログ。サスペンスが特に好きです。

湖底のまつり(ネタバレ含む)

湖底のまつり
泡坂妻夫創元推理文庫


▼あらすじ(ネタバレなし)
傷心旅行で山合の峡谷を訪れた紀子は、晃二という男と運命的な出会いを果たす。二人は一夜を共にする。
翌日、彼の姿はなく、近くの村人は晃二という男はひと月前に毒で死んだと言う。
紀子は思う、自分と寝た男は村人の言う晃二ではなかった。では、一体誰だったのか。


▼感想(ネタバレなし)
これ、文体がとにかく本当に綺麗です。
絵画的で文学的。詩的な意味での非日常モノ。騙し絵というキャッチコピーがついていたのにも納得。
ミステリーと文学的幻想が混ざって一粒で二度美味しい。



※以下、未読の方にとっては作品の観賞を台無しにしかねないネタバレを書いています。

ネタバレ閲覧は自己責任でお願いいたします。

そして出来れば、未読の方はここで引き返して、
先に本編を読むことをおすすめしたいです。

湖底のまつり (創元推理文庫)

湖底のまつり (創元推理文庫)


ーー以下ネタバレーー




























▼ストーリーネタバレ
晃二は、結婚したばかりの妻、緋紗江の昔の恋人の粧子に誤って殺された。
粧子の本当の狙いは緋紗江との心中だった。失敗により、この事件は粧子による晃二との心中とみなされた。
ただ一人真相を知る緋紗江は晃二を弔うため、彼の服を着て彼のようにふるまう。そして紀子と出会い一夜を共にした。
その一年後、紀子は緋紗江と再会。自分の探していた『晃司』が女性の姿をしているのを見た瞬間、彼女の胸に新しい恋情が宿っていた。


▼トリックネタバレ
性別誤認トリック。冒頭で紀子が抱かれたのは晃二のふりをした緋紗江。
そして、元彼(元カノ)誤認トリック。粧子と緋紗江は同性愛の関係だった。
冒頭の土地への違和感はダム建設による地形変動のせい。


▼ネタバレ感想
濡れ場をここまで長々と描写して性別誤認トリックが成り立つのがすごすぎる。
『完璧な人間とは、女性でありながら男性の要素を持ち合わせている』という独特の論が話の軸にあるのが面白いです。
この完璧な人間像を押し付けられることにうんざりし始めていた緋紗江が、晃司と結婚してやっと自分が望んだただの女になれたのに、
ラストでそれが再び台無しになることが匂わされていてとっても皮肉ですね。こういうの好きです。