来訪者【新訳版】(ネタバレ含む)
来訪者【新訳版】
(ロアルド・ダール/田口俊樹訳/早川書房)
四篇の短編が入っています。
▼あらすじ(ネタバレなし)
■来訪者
一生をかけてありとあらゆる女性を口説き落としたとされる叔父は、膨大な日記を遺していた。
その日記にはとても信じられない程の女性との体験談がびっしりと……。
■夫婦交換大作戦
ばれないようにこっそり妻を入れ替えてセックスしようぜっていう話。
わりとそのまんま。
■やり残したこと
夫を交通事故で亡くしたことで鬱と自殺願望に苛まれていた女性がいた。
ふとしたきっかけで、元彼と再会することになったが……。
■雌犬
『来訪者』で登場した叔父さんが、すっごい媚薬で悪巧み。
具体的には、大統領に媚薬を仕込んで大衆の前で大失態を演じさせようと計画する。
要点だけ書くと本当にナンセンスすぎて頭抱える。
実際の印象もそうなんだけど。
※以下、話のオチまで書いています。
ネタバレ閲覧は自己責任でお願いいたします。
そして出来れば、未読の方はここで引き返して、
先に本編を読むことをおすすめしたいです。
- 作者: ロアルド・ダール,山?若菜,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/07/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ーー以下ネタバレーー
▼オチと感想(ネタバレあり)
■来訪者
叔父の日記から想像できる彼の最期は、女性に病気を移されて……というものだった。
美人親子が意味深に登場するが、暗闇の中で誰ともわからず寝たのは二人のうちどちらでもなかったというオチ。
まさにナンセンスブラックユーモア。原文や旧訳などでは具体的な病名が書かれているらしく、そちらは全く笑えないです。
■夫婦交換大作戦
主人公はセックスが下手くそでしかも自覚なし。
対して友人は上手い。
妻は夫の友人と寝たことでようやく性の悦びに目覚めることができた。
どこまでもバカバカしくてむしろ爽やかに思える。
この夫婦、これからどうするんだろうね。
いい未来は待っていなさそう。
■やり残したこと
女性は元彼との再会で元気を取り戻したかに見えた。さっそくセックスする二人。しかし上手くいかない。
原因は女性の膣の病気。絶望した女性は当初の予定通り死を選ぶ。
後味が悪すぎる。病気ネタ多くないですか。ファンタジー児童文学書いてた人と同一人物の作品とはとても信じられないドス黒さ。
▼雌犬
媚薬の開発者の知人が皮肉な事故で死んでしまったので、すごい媚薬の製造方法は闇に葬られた。
わずかに残った媚薬で計画を成功させようとするが、失敗。おぞましい大女と激しく一夜を過ごしてしまう。
なんかすごく無茶苦茶な話。
こういう毒にも薬にもならないコメディもたまにはありかなって思います。
タイトルほどそんなにエロくはない。